ローコスト建築をハイクォリティにするために
設計段階から品質を仕込むプロセス
京都で事務所や倉庫を計画する場合、コストと品質を同時に満たす鍵は初期設計にある。平面を単純化しつつもBIMで詳細を可視化し、構造・設備・動線の干渉を早期に排除すれば、手戻り工事のリスクを極小化できる。さらにIPD(統合プロジェクトデリバリー)手法を採り、設計者・施工者・設備メーカーが早期に合流することで、見積り段階から代替案を比較し、材料費の高騰にも機敏に対応できる。
素材と工法の最適バランス
軽量鉄骨フレームに合板耐力壁や高耐食ガルバリウム外装を組み合わせたハイブリッド工法は、強度と断熱性能を両立しつつ躯体重量を抑えるため基礎コストを圧縮できる。規格化されたH形鋼に穴あけ加工を施すことで現場ボルト数を2割削減した事例もあり、施工スピードを損なわず精度向上が可能だ。内装にはリサイクル率の高いマグネシウム系ボードを採用し、火災時の有毒ガスを大幅に低減。これにより保管物の安全性を確保しながら保険料の優遇も期待できる。
地域特性を生かしたスケールメリット
京都府南部には鋼材ファブや板金加工業者が半径30 km圏内に密集しており、材料輸送距離を短縮すればCO2排出量と運賃を同時に抑えられる。さらに、近接する伏見港や久御山の物流拠点を活用すると、建材納入リードタイムを平均2日短縮でき、生産計画を緻密に組み直せる。地域一括発注でスケールメリットを確保しながら、地元サプライヤーとの協働により保証期間の延長や緊急対応力も高めることが可能だ。これらの効果は最終坪単価を約1万円低減させる試算も報告されている。加えて現場搬入回数も減らせるため施工安全性が向上する。
維持管理まで含めたライフサイクル視点
建設費を抑えても維持費が膨らめば総コストは上がる。そこでIoTセンサーを梁や屋根パネル内に組み込み、応力や温湿度を常時モニタリングするスマートメンテナンスを導入する。異常値をクラウドで解析し、予防補修を行えば長期的に修繕費を30%削減できるとの試算がある。照明はDALI制御対応LEDをベースに時間帯別の調光シナリオを組み、オフィスゾーンと倉庫ゾーンのエネルギー消費をきめ細かく分離。これにより、省エネ法の定期報告に求められる原単位を容易にクリアし、ESG評価でも優位に立てる。
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