鉄筋コンクリート造に比べた軽量鉄骨のメリット

工期とコストコントロール

軽量鉄骨はボルト締め主体の乾式工法で、型枠組立て・配筋・養生という湿式工程が省けます。雨期でも工程がずれにくく、RCに比べ平均30~40%短い工期で竣工が可能です。部材は工場で規格大量生産され品質が均一なうえ、鉄筋と生コンの市況変動に左右されにくく、見積もり精度が高いのも魅力です。躯体が軽いため基礎杭は短尺・少本数で済み、掘削土量・コンクリート打設量を大幅に削減が可能です。また、仮設足場も簡素化でき、クレーン能力も小さく済むため施工経費全体が圧縮できます。

耐震性と軽量化の恩恵

総重量がRCの約3分の1に収まる軽量鉄骨は、地震時の慣性力が抑えられるため、柱脚・基礎へのダメージが軽微で、転倒や非構造部材の落下空振り被害も軽減します。ブレースフレームや粘弾性ダンパーを挿入すれば変形性能が向上し、層間変形角120分の1ランクが確保可能です。大地震後の復旧は、仕上げを剥がしてクラック検査を要するRCと異なり、ボルト増し締めやプレート交換・塗装補修で済むため、休業期間が短縮できます。BCPを重視する物流センターやデータセンターにとって大きな利点です。

レイアウト自由度と可変性

軽量鉄骨は高強度材を細い断面で使えるため、梁せいを抑えた長スパンが取りやすく、10m以上の無柱空間や7m超の高天井も容易に実現できます。RCで必要な耐震壁や梁型が減ることで、オフィスではフリーアドレス席やカフェエリアの配置、倉庫ではメザニンや自動ラックを自在に配置可能となります。ボルト接合主体のため、間仕切り撤去・増設は夜間工事でも短時間で完了し、粉じんや騒音が少ないためテナント営業を止めずに改修できます。長期的に用途変更や増築を計画する施設に適しています。

メンテナンスと環境負荷の削減

RCの主劣化要因である中性化・塩害は補修費が高額ですが、軽量鉄骨は溶融亜鉛メッキと高耐候性フッ素塗料の再塗装で長寿命化が図れます。部材はリサイクル鋼材として高いスクラップ価値があり、解体時の廃棄コストが相殺できます。外壁を高断熱パネルに、屋根を高反射塗装にすることで冷房負荷を15%前後削減でき、LCCO2評価でも優位性が示せます。また、軽量化による輸送燃料の削減や、少量コンクリートでの施工により、建設段階のCO2排出が抑制可能となります。ESGを重視する企業報告書においても、環境KPIの達成に貢献する構造方式といえます。